ゴホゴホとした咳が長く続くと、「もしかして喘息かな?」と自分だけでなく周囲も思うようになります。どのような症状が見られたら医療機関に行くべきなのか、また、医療機関ではどのような検査を実施するのか説明します。気になる症状が見られたときは、早めに診察を受けるようにしてくださいね。
喘息を疑うことができる症状
次のような症状が見られるときは、喘息の可能性があります。なるべく早く医療機関を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。
風邪は治ったのに咳だけ続く
高熱によるだるさや食欲不振、くしゃみ、鼻水等の風邪による症状が治まったのに、咳だけが2週間以上続くときは、喘息の可能性が疑われます。
息をするとゼイゼイという音が聞こえる
息をすると肺の辺りから「ゼイゼイ」という音が聞こえるときも、喘息の可能性が疑われます。また、息を吸うときに「ヒューヒュー」という音が漏れ聞こえるときも、喘息に罹患している可能性があります。
気温差を感じると咳が出る
布団に入ったときや早朝など、気温差を感じるときに咳き込むと、喘息の可能性が疑われます。咳が苦しくて目覚めるときも喘息の可能性があります。
ストレスや疲労が溜まると咳が出る
ストレスが溜まったとき、また、疲労が溜まったときに咳が出る症状も、喘息の可能性があります。
喘息かどうかを見極める検査とは
医療機関を受診すると、まずは問診が行われます。問診の次に、呼吸機能等の検査を実施していきます。
喘息診断の際の問診内容
一般的な問診の内容は次の通りです。いずれも「はい」と答えると、喘息である可能性が高まります。
- 夜間や早朝に咳が出ることはありますか?
- 咳の発作が連続して出ることがありますか?
- 運動など、身体を動かすと咳が出ることがありますか?
- ストレスが多いときや疲れているときに咳が出やすくなると感じますか?
- 天気や気圧等、気象の変化によって咳が出ることがありますか?
- アレルギーやアトピーはありますか?
- 家族にアレルギーやアトピーの人はいますか?
呼吸機能検査
問診によって喘息の疑いが強まった場合は、呼吸機能検査を実施します。ただし、呼吸機能検査は息を精一杯吐く必要がありますので、乳幼児には負担が大きく実施が困難ですので実施されません。
呼吸機能検査では、一般的に「1秒量」を測定します。1秒量とは、肺にいっぱいの空気が入るように吸い込み、スパイロメータと呼ばれる医療機器の吹き込み部分を口にくわえて勢いよく吐きだし、最初の1秒間に吐きだした空気量を指しています。この1秒量が年齢や性別、身長による平均値から明らかに少ないときは気管支が狭まっていると判断されますので、喘息の可能性が疑われます。尚、気管支拡張薬を服用した後にも1秒量を測定し、期待している効果が得られているか確認します。
また、同じくスパイロメータを利用して、「ピークフロー」も測定します。ピークフローとは最大限早く呼気を吐きだしたときの流速のことで、喘息に罹患している場合はピークフローが低下します。
アレルゲン検査
特に小児の場合は、アレルギー性の喘息が全体の70~90%を占めますので、アレルギー素因があるかどうかを調べることは喘息診断において重要な意味を持ちます。
まずは血液を採取し、血液検査を実施します。血液中にアレルゲン特異的IgE抗体が検出されるかを確認します。また、スクラッチテストと呼ばれるテストも実施します。これは、皮膚を少々引っ掻いて傷をつけ、その部分にアレルギーの原因物質と思われるものを付着させて反応を見るテストです。じんましんのように赤く膨らむと、接触させたアレルギー物質に対してアレルギーがあると判断することができます。
ピークフローメータで自己検査も可能
ピークフローと1秒量は密接に関連していますので、ピークフローを測定するだけでも喘息かどうかを大まかに知ることは可能です。スパイロメータは医療機器ですので個人で購入するにはかなり高額になってしまいますが、「ピークフローメータ」ならコンパクトで低価格ですので1つ入手して喘息症状が起こっているのか自己検査することができます。
ピークフローメータに呼吸を拭き込むと、目盛りが移動します。目盛りが移動した先がグリーンのときは気管は閉塞されておらず日常生活に問題がないと診断できます。一方、目盛りの移動先がイエローのときは喘息が起こる可能性がありますので注意が必要となり、移動先がレッドのときは喘息症状が強く起こっているため早めに治療薬を吸入する必要があると診断できます。
早期診断と早期治療で生活の質をキープしよう!
喘息は早めに診断を受けて治療を開始することで、症状を抑えることが可能な疾病です。咳に悩まされることなく高い生活の質をキープするためにも、「喘息かな?」と思ったら早めに病院で診察を受けるようにしてください。
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