お腹の上にくっきりと出てしまう妊娠線。一度できてしまうとなかなか完璧には消せませんので、何とかして予防したいですよね。人によっては、お腹だけでなく太ももや胸、お尻の下にも妊娠線ができることもあります。なぜ妊娠線ができるのか、また、どうすれば効果的に予防することができるのかについて説明してまいります。
妊娠線は急激な皮下脂肪の増加によって出来る
妊娠すると、ホルモンの影響を受けて、身体が自然と皮下脂肪を蓄積するようになります。そのため、妊娠前と同じ量だけ食べても、皮下脂肪が増えて体重が増加することになってしまうのです。もちろん、妊娠中は赤ちゃんのためにも普段以上に食べることになりますので、ただでさえ皮下脂肪が増えやすい状態にカロリーが投下され、皮下脂肪がさらに増えることになるのです。
皮下脂肪の増加スピードと皮膚
皮下脂肪がどんどん増加すると、脂肪を覆う皮膚もたくさん必要になります。人間の皮膚は伸縮性に優れていますから、ある程度皮下脂肪が増えても問題なく覆うことができます。
ですが、皮下脂肪の増加量が多く、増加するスピードも速い場合は、皮下脂肪の成長に皮膚が追いつかなくなってしまいます。表皮の内側の真皮は、線維状タンパク質であるコラーゲン組織から成り立っていますが、その部分に亀裂が入ってしまい、肌表面にひび割れ状の線「妊娠線」が現れるようになるのです。
肉割れは急激な体重増加や身長増加によっても見られる
妊娠線とは、妊娠によって引き起こされる肉割れ状態のことでもあります。妊娠していないときであっても、急激に体重が増加するときや急激に身長が伸びるときに、身体のサイズの変化に皮膚が追い付かず、ひび割れ状の線が表皮に現れることもあるのです。
妊娠線の予防方法1:体重管理
急激に皮下脂肪を増やさなければ、皮膚が強く引っ張られることもありませんし、妊娠線が身体に付くこともありません。脂肪が付きやすい時期であっても体重管理をしっかりと行うことで、妊娠線の予防をすることは可能です。
こまめに体重を量る
妊娠中に体重が増加するのは自然なことですが、だからと言って自然のままに放置しておくことは勧められません。少なくとも1週間に1度は体重を量って、増えすぎないように管理することが大切なのです。
妊娠線を予防するためにも、まずは、体重増加の非妊娠時のBMI(体重kgを身長mの二乗で割ったもの。体重が48kg、身長が1.6mの人ならBMIの数値は48÷(1.6×1.6)=18.75)を知っておく必要があります。
期間別の体重増加の目安
妊娠期は体重が増加しやすい時期ですが、いつでも同じ程度に体重が増加するのではありません。例えば妊娠初期は赤ちゃんも大きくはなく、妊娠12~15週目でようやく体重が100グラムほどになりますので、お母さんの体重も急激には増えにくいでしょう。ですが、妊娠後期になると急激にお腹が大きく成長し、赤ちゃんの体長も50センチ、体重は3000グラムほどになっていきますので、お母さんの体重も急激に増加しやすくなります。
また、お母さんが元々痩せ型か肥満型かによっても、体重増加の目安は異なります。先程算出したBMIを基準に、出産までの体重増加の目安と妊娠期別の体重増加の目安を紹介します。尚、妊娠初期とは妊娠1~4ヶ月(妊娠0週~15週)、妊娠中期とは妊娠5~7ヶ月(妊娠16週~27週)、妊娠後期とは妊娠8ヶ月以降(妊娠28週以降)を指します。
BMIが18.5未満の場合の体重増加の目安
出産までの体重増加の目安 | ||
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10kg~12kg | ||
妊娠初期の体重増加 | 妊娠中期の体重増加 | 妊娠後期の体重増加 |
1ヶ月に500グラムほど | 1ヶ月に1~1.5kgほど | 1週間に200~300グラムほど |
BMIが18.5以上25.0未満の場合の体重増加の目安
出産までの体重増加の目安 | ||
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7kg~10kg | ||
妊娠初期の体重増加 | 妊娠中期の体重増加 | 妊娠後期の体重増加 |
1ヶ月に400グラムほど | 1ヶ月に1~1.2kgほど | 1週間に200~300グラムほど |
BMIが25.0以上の場合の体重増加の目安
出産までの体重増加の目安 | ||
---|---|---|
5kg~7kg | ||
妊娠初期の体重増加 | 妊娠中期の体重増加 | 妊娠後期の体重増加 |
1ヶ月に300グラムほど | 1ヶ月に0.8~1kgほど | 1週間に200~300グラムほど |
普段の食事+300kcalが目安
一昔前は、赤ちゃんがお腹にいるときは2人分の食事をするようにと言われることがありましたが、本当に2人分を食べるなら明らかに食べ過ぎです。赤ちゃんは大人の1人前を食べることはありませんので、普段よりちょっと多め程度で充分なのです。
一般には、普段の摂取カロリーに300kcal増やすくらいがちょうどよいと言われています。1回の食事当たりに見ると100kcal増やす程度ですので、ご飯を半分だけおかわりしたり、野菜を中心とした小皿を1品追加したり、デザートのフルーツを普段よりも多めに食べたりする程度で充分なのです。
1食当たり100kcal程度のものをいくつか紹介します。
- 一般的なお茶碗に半分程度のご飯
- 6枚切りの食パン半分
- ロールキャベツ1個
- 海老フライ小さめ1本
- バナナ小さめのもの1本
- みかん2個
- リンゴ半分
- プリン1個
- クッキー2枚
- マヨネーズ大さじ1
糖質・脂質を抑えた食事
糖質を過剰に摂取すると、余った糖質が脂肪として蓄積されてしまいます。また、脂質は糖質よりもエネルギー変換されにくい物質ですので、糖質を過剰に摂取すると脂質の分解・消化を阻害することになってしまい、糖質だけでなく脂質も脂肪として蓄積されるようになります。
身体に余分な皮下脂肪が付かないためにも、糖質や脂質に偏った食事を避けるようにしましょう。タンパク質やミネラル、ビタミンなどをバランスよく食べるようにし、スナック菓子や洋菓子、炭水化物ばかりを食べないようにしてくださいね。
妊娠線の予防方法2:皮膚の潤いを保つ
急激に皮膚が引っ張られたとしても、皮膚がしっかりと潤っていて伸びやすい状態にあるならば、コラーゲン組織に亀裂が入りにくくなります。妊娠線ができやすいお腹周りや太もも、お尻の下側の保湿を丁寧に行いましょう。
ボディクリームは妊娠線専用を買うべき?
毎日、朝と入浴後の2回、しっかりとボディクリームを塗れば、ある程度妊娠線予防ができます。妊娠線予防専用のクリームやセラムなどもありますが、肌に合っていれば、特別なクリームでなくても充分な効果が得られます。高価なクリームやオイルを購入するよりも、毎日しっかりと続けることと丁寧に塗り込むことが大切だと言えるでしょう。
ボディクリームを選ぶときの注意事項
妊娠中は、肌が敏感になることが多いです。普段、どんなクリームや化粧品を塗っても被れない人でも、妊娠中はちょっとした刺激で肌が赤くなったりかゆくなったりすることがあるのです。
特に普段から敏感肌の人は、ボディクリームを選ぶときも、低刺激のものを選ぶようにすることが勧められます。オーガニックのものを選んだり、普段から慣れ親しんでいるブランドのものを選んだりすることができるでしょう。
香りにも注意が必要
妊娠中は、嗅覚も敏感になることがあります。いつもなら気にならない程度のかすかな香りでも、頭が痛くなったり、吐き気を催したりすることがあるのです。匂いが気になる方は、無香料のものを選ぶようにしましょう。
また、妊娠中はアロマにも注意が必要です。例えば、ジャスミンやカモミールは子宮収縮を促す作用があると言われていますので、ボディクリームの中に入っていない方が好ましいです。どの香りが良くないのか分かりづらいときも、安心して使える無香料のものを選ぶようにしてください。
体重管理と保湿ケアで妊娠線を予防する
体重管理と保湿ケアをしっかりと行えば、妊娠線を予防することが可能です。こまめに体重計に乗り、朝晩のボディクリームを欠かさないようにしてくださいね。