水疱瘡は、水痘帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる感染症の1種です。水痘(すいとう)と呼ばれることもあります。水疱瘡は麻疹よりは感染力が弱いのですが、風疹よりは感染力が強いですので、家庭内で水疱瘡にかかっている患者が1人いると、家族の誰かには感染してしまう可能性が高くなります。水疱瘡の具体的な症状や対処方法について解説してまいります。
水疱瘡の症状
水痘帯状疱疹ウイルスに感染すると、10日~20日ほどの潜伏期間をおいてから全身に発疹が見られるようになります。子供の場合は最初のうちは発疹だけが見られますが、成人の場合は発疹と同時に発熱やだるさが表れたり、発疹の1日~2日ほど前に発熱が見られたりすることもあります。
発疹が変化する
通常、最初は頭皮に発疹が出ます。その後、体幹部分や手足にも発疹が見られるようになります。どちらかと言うと手足よりは体幹部分の発疹が多いことが、水疱瘡の特徴とも言えます。数日間、次から次へと新しい発疹が発生し、鼻腔内や気道などの粘膜に発生することもあります。
変化するのは発疹が出る部位だけではありません。発疹自体の様子も変化します。最初は単に赤みがある状態ですが、その後、丘状に盛り上がった発疹が表れ、徐々に中に水が入った水疱が出現し、かさぶた状になって終息します。尚、水疱瘡の発疹は、強いかゆみを伴うことが特徴でもあります。掻いてしまうと皮膚に跡が残ることもありますので、掻かないように注意しなくてはなりません。
発疹が出てから発熱する
子供の場合は、発疹が見られてから発熱が起こることが一般的です。38度前後の高熱が2~3日継続し、後は徐々に熱も下がって、発疹も快方に向かいます。大人の場合は、さらに高い熱が出ることや高熱期間が長引くこともあります。
水疱瘡は予防接種で予防できる
2016年10月から、水疱瘡の予防接種が「定期接種」として受けられるようになりました。定期接種とは特定の月齢・年齢に該当する人が、その時期に限り基本的に無料で受けられる予防接種のことです。水疱瘡の予防接種は、生後12ヶ月~36ヶ月の間に2回実施されます。
3ヶ月以上の間隔を空けて予防接種を受けよう
水疱瘡の予防接種は、1回目と2回目の間隔を3ヶ月以上空けなくてはなりません。2回目の予防接種が生後36ヶ月以下で受けられるように、1回目の予防接種を計画的に受けさせるようにしてください。尚、1回目と2回目の間隔が3ヶ月未満の場合は、予防接種は1回しか受けていないとされますのでご注意ください。
予防接種前に水疱瘡にかかった人は予防接種対象外になる
予防接種を受ける前に水疱瘡にかかってしまった場合は、すでに水疱瘡に対する免疫を獲得したとみなされますので予防接種を受ける必要はありません。予防接種を受けるべきか迷うときは、かかりつけの小児科医に相談してみて下さい。
予防接種を受けても水疱瘡にかかることがある
水痘予防接種は、水疱瘡を100%予防するものではありません。しかしながら、水痘予防接種を実施しておくと重篤な水疱瘡にかかる確率をほぼ0にすることができますので、万が一水疱瘡になったとしても軽症で済みます。決められた時期に2回の予防接種が受けられるよう、母子手帳をしっかりと読んで予防接種スケジュールを組むようにしてください。
水疱瘡にかかったときの対処策
水疱瘡にかかったと思われるときは、早めに病院に連れて行って治療を受けるようにしましょう。タイミングによっては抗ウイルス薬が効果を発揮することもありますし、かゆみ止めを処方してもらってつらいかゆみが治まることもあります。
早めに病院に連れていくことで合併症も防げる
水疱瘡自体は1週間ほどで自然に症状が治まる病気なのですが、髄膜炎や肺炎、脳炎などの合併症を引き起こすと、病気が長引くだけでなく生命にかかわる重篤な症状が出てしまうこともあります。早めに病院に連れていくことで合併症の発症も抑えることができますので、なるべく初期のうちに受診するようにしてください。
受診する前に水疱瘡であることを伝えよう
水疱瘡は感染力が強い病気ですし、年齢が高くなるにつれ水疱瘡による症状が重篤化する傾向にあります。他の患者さんに水疱瘡をうつしてしまうことがないように、かならず受診する前に「水疱瘡かもしれません」と電話もしくは受付で伝えるようにしてください。病院によっては隔離室がありますので、指示を守って適切な場所で診察の順番を待つようにしましょう。
発症後も水痘ウイルスは数週間体内にいる!
水疱瘡は発症するまでに2週間ほどウイルスが体内に潜伏していますが、発症後も2~3週間はウイルスが体内に残っています。周囲の人にうつしてしまう可能性がありますので、すべての水疱がかさぶたになり、病院でも完治したことが認められてから、学校や保育園などに通うようにしましょう。