大手販売店などは、オーガニックコットンを積極的に取り上げて、自然派志向をアピールしています。需要が増えているオーガニックコットンは、一般のコットンとどこが違うのでしょうか。また、オーガニックコットンにはどんなメリットがあるのでしょうか。それらをまとめてみました。
綿花は種?
白いふわふわの綿が丸まって咲いているような綿花(コットンボール)は、実は花ではありません。花が咲いた後、そこに実が成り、その種を包むように表皮細胞の生長したものが綿の繊維になります。白くふわふわとした愛らしい独特の形をしています。
オーガニックコットンとは
オーガニックコットンとは、「オーガニック」と付くことでわかるように、有機栽培で育てられ生産された綿です。3年以上農薬や化学肥料を使用しない畑で栽培され、栽培中にも農薬や化学肥料、殺虫剤、除草剤などを使わないで育てます。また、自然に葉が枯れるのを待ってから収穫します。そうして収穫した綿を、「オーガニックコットン」と呼びます。
アレルギー性の皮膚炎や乾燥肌の人などは、肌への刺激が少ないと愛用する人が増えています。
オーガニック認証機関
一見しても、どれがオーガニックコットンで、どれがそうでないのかわかりませんね。そんなときに役立つのが、第三者認証機関による認証制度になります。認証を受けることで「オーガニックコットン」と表記できるのです。
オーガニックコットンのメリット
環境負荷が少ないオーガニックコットン
オーガニックコットンの良さで一番大きいのは、環境への負荷が少なくなることです。栽培過程で、環境への負担が大きい化学肥料や農薬の使用をできる限り少なくしているので、環境にやさしくなります。従来のコットン栽培に使用する農薬は、野菜や果物の栽培よりはるかに量が多く、なんと全世界で使用される4分の1もの量を使うといわれています。さらに、コットンボールから繊維へと加工する際には、漂白剤や化学染料を使用することから、繊維業は環境負荷の大きな産業といわれていました。
CO2を削減するオーガニック農法
近年、生産の仕方が見直され、自然の土に還るオーガニックコットンの需要が増えてきています。オーガニックコットンを栽培する農地が増えることで、CO2の削減や水質の改善が見込まれます。また、オーガニック農法を行うことで、土に生きる生物や微生物が増え、さらにCO2を削減することができるという、自然界のサイクルを取り戻すことができるようになります。
肌にやさしいオーガニックコットン
オーガニックコットンは、アトピー性皮膚炎など、さまざまなアレルギーを持つ人にやさしいコットンです。刺激に弱い乾燥肌の人や肌が敏感な乳幼児は、肌触りのよいオーガニックコットンが適しています。
オーガニックコットンの生産は農場の人にもやさしい
コットンの生産には大量の農薬が使われていると説明しましたが、農薬を大量に使うということは、使用している農場の人にも厳しい環境だといえます。農薬により健康被害を引き起こすことになるのです。オーガニック農法を行うことで、農場で働く人たちの健康も守られるようになります。現在コットンは発展途上国での生産量が多く、「フェアトレード(公正取引)」により、量を優先させた生産にならないよう支援され守られています。
オーガニックコットンのデメリット
コストが高い
オーガニックコットンの難点は、一般のコットンよりコストが高くなることです。綿を栽培している段階で、安価で手軽な農薬や化学肥料を使用しないため、除草や害虫防除に多くの人手や時間がかかってしまいます。さらに、大量に収穫することもできないため、コストに反映してしまうのです。
色が制限される
オーガニックコットンは漂白剤や化学染料を使わないことから、色が制限され、色やデザインの幅が狭まります。また、色が安定しないなどという面もあります。
オーガニックコットンは、農薬や化学肥料を使用しない農地で栽培された、肌にやさしいコットンです。除草は農薬に頼らず人手によって除去するので、手間暇がかかってしまい、大量生産もできません。そのため、コストが高くなる傾向があります。しかし、肌にやさしく、環境にもやさしいオーガニックコットンは、人にも地球にもやさしい素材となっています。