最近、オーガニックコーヒーの専門店が増えています。「オーガニック」というだけで何となく身体に良さそうな印象を受けますが、本当のところは普通のコーヒーと何が違うのでしょうか。オーガニックコーヒーと普通のコーヒーの違いについて解説してまいります。
オーガニックコーヒーの基準
オーガニックコーヒーとそれ以外のコーヒーの違いは、豆の種類ではなく「育て方」にあります。化学肥料や農薬などの人工的あるいは化学的なものを使わずに育てたコーヒー豆を「オーガニックコーヒー豆」と言い、オーガニックコーヒー豆から淹れたコーヒーを「オーガニックコーヒー」と呼ぶのです。
認定団体によって基準は異なる
コーヒーが「オーガニックコーヒー」であるかどうかは、オーガニックを認定する団体によって基準が異なります。例えば国際的なオーガニック認定機関であるOCIA(Organic Crop Improvement Association)やアメリカのオーガニック認定機関CCOP、ドイツのオーガニック認定機関CERES等、世界にはさまざまなオーガニック認定機関があり、それぞれ異なる基準でオーガニックであるかどうかを判断し、基準を満たした商品や作物だけを「オーガニック」であると認定しています。
OCIAとは
世界規模で活動をしているオーガニック認定機関・OCIAでは、独自のオーガニック基準だけでなくアメリカやカナダ、スイスなどの各国のオーガニック基準の認定も行っています。例えば、OCIAを通してアメリカのオーガニック認定を受けるなら、OCIAのマークだけでなくアメリカのオーガニック認定マーク(アメリカ農務省USDAからオーガニックであると認定されたことを示す「USDA ORGANIC」)の両方を表示することができます。
日本では、OCIAの日本窓口であるOCIAジャパンが活動しています。OCIAジャパンを通して、OCIAやアメリカのオーガニック認定基準であるNOP(National Organic Program)などの認定を受けることができます。
ただしベースとなる基準は共通している
オーガニック認定機関によって基準は異なるもの、ベースとなる基準は共通しています。オーガニック商品であるためには、その作物が作られた畑自体に、一定期間以上農薬や化学肥料、殺虫剤などの化学的なものが使われていないことが求められていますが、多くのオーガニック認定機関では、最低期間を「3年」と定めています。
また、「作物を製品化する過程において添加物などの化学的なものを使ってはいけない」ということも、ほとんどのオーガニック認定機関で採用されているオーガニックの条件です。オーガニック認定機関によって細かな違いはありますが、ベースとなる基準は概ね共通していると言えるのです。
オーガニックコーヒーを販売する基準
オーガニック認定を受けたコーヒーを仕入れるだけでは、オーガニックコーヒーを販売することはできません。例えば、日本国内でオーガニックコーヒー豆を販売するとき、もしくはオーガニックコーヒー豆を焙煎してコーヒーとして販売するときには、「有機加工食品製造業者」であること示す認定を受けなくてはならないのです。
つまり、有機加工食品製造業者であるという認定を受けた業者が、オーガニック認定機関からオーガニック認定を受けたコーヒー豆を購入し、焙煎して抽出されたコーヒーだけが「オーガニックコーヒー」と呼べるのです。
オーガニックに関連する業者
オーガニック商品を取り扱う際に特定の認定が必要なのは、オーガニック商品の販売や加工を行う業者だけではありません。オーガニック商品を海外から輸入するときは、海外の政府がオーガニック商品であるということを認めていることを示す認定書類を入手し、日本の基準に合った商品であることを示す「有機商品専門輸入業者」が必要になります。
また、オーガニック商品を小分けにして販売するときは、「有機商品専門小分け業者」が商品を小分けにしなくてはなりません。このように、オーガニック商品は、生産するときだけでなく商品化するときも、各段階において特定の資格を持った業者が扱わなくてはならないと定められているのです。
日本では「有機」という言葉にも規制がある!
日本には、農林物資の品質基準や規格を定める「JAS法」と呼ばれる法律があります。このJAS法では、有機加工食品や有機農産物についての基準も定めており、基準を満たしたことが認定されると商品や農産物に「有機」の文字を表示することができるようになります。つまり、JAS法で有機商品の基準を満たしていないものは、「有機」という言葉を用いることができないのです。
商品化のすべての段階において厳しくチェックされるオーガニックコーヒー
コーヒーを生産する際に化学肥料や農薬が使われていないというだけでは、オーガニックコーヒーを名乗ることはできません。一定期間以上化学肥料や農薬が使われていない土地で生産されていること、有機農法で生産されていること、オーガニック商品の輸入資格を持つ業者が輸入すること、また、オーガニック商品を小分けする資格を持った業者が小分けすること等、商品化のさまざまな過程で特定の基準が求められているからです。そして、それぞれを適正に満たしたコーヒーだけが「オーガニックコーヒー」と呼ばれるのです。
参考サイト:
有機加工食品 検査認証制度ハンドブック
OCIA認定とは