オーガニックワインとは、どのような規格を満たすワインなのでしょうか。また、味に関しては、オーガニック以外のワインと比べてどのように評価できるのでしょうか。
オーガニックの基準は「オーガニック認定機関」によって異なる
何をもってオーガニックとするかは、「オーガニック認定機関」によって異なります。数年間農薬や化学肥料を使わなかった土壌で農産物や畜産物を育てることが求められることもありますし、特定の農法あるいは特定の肥料を禁じられていることもあります。
これはオーガニックワインに関しても同じです。ワインがどのオーガニック認定機関によって「オーガニックワインである」と認められたかによって、満たしている基準が異なるのです。
日本のオーガニックワインの基準
日本で「オーガニックワインである」と認められたワインは、農林水産省の基準を満たしています。農林水産省では「有機JASマーク」というマーク制度を定めており、一定の基準を満たした農産物や畜産物、加工食品、飼料に有機JASマークを付与し、それぞれの製品に表示することを認めています。また、有機JASマークを取得すると、商品ラベルや広告等で「有機」や「オーガニック」を名乗ることも認められます。
有機JASマークが付与されたオーガニックワインとは
有機JASマークが付与されたオーガニックワインは、次の条件をすべて満たしているワインと言えます。
- 加工の際に化学的な手法を用いず、物理的あるいは生物の自然な機能を利用した加工を行っていること。
- 加工や製品化の過程において、化学的な添加物を避けていること。
- すべての材料から水と食塩を除いたものの95%以上が、有機農産物もしくは有機加工食品からできていること。
条件中の「有機農産物」と「有機加工食品」とは、以下の条件をすべて満たす農産物あるいは加工食品のことです。
- 農産物が作られる土壌には、有機肥料が用いられていること。
- 2年間以上、禁止されている農薬や化学肥料を使用していない土壌に、種をまいて育てること。あるいは、苗を植えること。
- 水耕栽培やロックウール栽培を用いず、土壌を用いて農産物を栽培すること。
- 遺伝子組み換え技術を一切用いていないこと。
海外のオーガニックワインの基準
海外のオーガニックワインは、その国のオーガニック基準あるいは特定のオーガニック認定機関のオーガニック基準を満たしています。国や認定機関によってオーガニックの基準は異なりますが、基本的には日本の有機JASと同様、一定期間農薬を使っていない土壌で栽培されたブドウを添加物不使用で加工していることが条件となります。
海外のオーガニックワインも有機JASマークを取得できる
ただし、海外のオーガニックワインでも、日本の農林水産省の有機JAS基準を満たしていることが確認されれば、ラベルに有機JASマークを付与して、「有機ワイン」や「オーガニックワイン」と名乗ることも認められます。
例えば、アイルランドやアメリカ、アルゼンチン、イタリア、オーストラリア、スペイン、ドイツ、ニュージーランド、フランス、ポルトガルなどの国のオーガニックの基準は、日本の有機JASの基準と同程度の水準だと認められています。そのため、これらの国々でオーガニックワインだと認証されたワインは、日本の有機JASマークを付けることができるのです。
有機JASの基準と同水準ではない国のワインは?
チリや南アフリカ共和国も、おいしいワインを生産している国です。しかしながら、オーガニックの基準が日本の有機JAS基準とは異なりますので、チリや南アフリカ共和国内で「オーガニックワイン」と認められたとしても、日本でそのまま「オーガニックワイン」と認めることはできません。どうしても日本でも「オーガニックワイン」として販売したい場合は、日本から畑や醸造所をチェックする有機JAS検査員を派遣し、「オーガニックワイン」であると認定してもらう必要があります。
オーガニックワインは美味しいの?
オーガニックワインかどうかは、美味しさの基準ではなく、ブドウが生産された畑や加工の方法、添加物等の基準です。そのため、オーガニックワインだから美味しいということも言えませんし、反対に、オーガニックワインは味に問題があるとも言えないのです。
とはいえ、化学的な添加物を加えないことで、ワイン本来の味を楽しめることができるのも事実です。オーガニックワインによってはブドウの味の濃さや甘さをダイレクトに感じることができるものもあるでしょう。
オーガニックワインは悪酔いしにくい?
ワインに含まれる亜硫酸塩が引き金となって悪酔いしてしまうことがあります。オーガニックワインは添加される亜硫酸塩の量が少ないことが多いですので、普段、ワインを飲むと悪酔いしやすい人も、オーガニックワインなら悪酔いせずに飲めるということもあるのです。今までワインと相性が悪いと思っていた人は、オーガニックワインを試してみてはいかがでしょうか。