オーガニックと聞くと、なんだかとても体に良さそうなイメージがありますよね。しかし、オーガニックの野菜は本当に体に良いのでしょうか。オーガニックではない野菜と比べた栄養の違いと残留農薬について説明します。
オーガニック野菜とは
オーガニックとは“有機”や“有機栽培”を意味する英語ですので、オーガニック野菜というと有機栽培による有機野菜を指します。化学肥料に頼らず、自然の力で育てた野菜だけをオーガニック野菜と呼んでいます。
有機JAS規格で育てられた野菜
日本では、有機野菜の基準として農林水産省で“有機JAS規格”が定められています。有機JAS規格が認められた野菜だけを「有機栽培」「有機」「オーガニック」「有機農産物」と表示することができるのです。
有機JAS規格が認められるのは、以下のすべての条件に当てはまり、なおかつ認証団体が認めた農産物だけです。
- 化学肥料と農薬を避けて栽培していること。
- 土壌本来が持つ力を発揮させる農法を使用していること。
- 作物の生産自体が周囲の環境に負担を与えていないこと。
- 生態系を崩さないように配慮して採取が行われていること。
- 遺伝子組み換え技術が用いられていないこと。
オーガニック野菜は体に良いの?
化学肥料や農薬、遺伝子組み換え技術を避けて生産したオーガニック野菜は、果たして体に良いと言えるのでしょうか。オーガニック野菜に含まれる栄養は、オーガニック以外の野菜に含まれる栄養よりも多いのでしょうか。
オーガニック野菜は栄養価が高いのか?
今治市で収穫された有機野菜と一般野菜を比較した研究では、野菜の種類によっては、カリウムや鉄分などの“ミネラル”やビタミンC、ビタミンB群、ビタミンAなどの“ビタミン”が有機野菜の方が多いということがありました。しかし、種類によっては一般野菜の方が栄養価やビタミン・ミネラルが高いということもあり、一概に「有機野菜の方が栄養価が高い」とは言えないことが報告されています。
残留農薬は?
栄養価という点では、有機野菜も一般野菜も大きな差はありません。では、安全性においてはどうなのでしょうか。まず、知っておかなくてはいけない点として、有機野菜は農薬を使わずに栽培された野菜ではないということを挙げられます。農薬を使わずに栽培すると農産物に重大な損害が発生する場合には、以下の農薬を使うことが認められています。
- 除虫菊剤
- 銅や硫黄などの天然鉱物を成分とした薬剤
- 天敵や微生物などを利用した生物農薬
- 性フェロモン剤
もちろん、これらの農薬が使われても、有機JAS規格の農産物としては認証されます。そのため、有機JAS規格の野菜にも残留農薬がある危険性は十分にあるのです。有機JAS規格の野菜であっても、丁寧に洗ってから口に入れるようにしてくださいね。
体に良い野菜の選び方
有機JAS規格の野菜であっても農薬を使っている可能性は十分にありますし、採取や加工の方法によっては残留農薬がついていることも十分に考えられます。つまり、有機JAS規格の野菜であっても一般の野菜であっても、農薬の危険があるのは同じともいえるのです。
では、体に良い野菜はどのように見分ければ良いのでしょうか。野菜を選ぶ時のポイントをいくつか紹介します。
新鮮な野菜を選ぶ
新鮮な野菜は、見た目よりも重量が重く、ずっしりとしていることが多いです。また、レタスやキャベツなどの収穫の際に刃物を使っている野菜は、切り口の色が濃い茶色に変色していないものを選びましょう。
旬の野菜を選ぶ
旬の野菜は、旬以外の時期に取れた野菜と比べると栄養価が高く味も濃くなっています。レシピ通りに調理をしようとすると、旬ではない野菜を買わなくてはいけないこともありますよね?臨機応変にレシピを旬の野菜にアレンジして、おいしく栄養価の高い食事を作るようにしてください。
野菜を調理する前に注意すべきこと
旬の新鮮な野菜を食べるときも、かならず丁寧に洗ってから調理をするようにしてください。流水に当てるだけでもほとんどの農薬は落ちます。さらに次のポイントに注意するなら、ほとんどの残留農薬は取り除けるでしょう。
- ヘタを丁寧に切ってから洗う。
- 葉っぱ系の野菜は、かならず一枚ずつはがしてから洗う。
- 根がついている野菜は、根を切り落としてから洗う。
- ほうれん草などの軸のある野菜は、軸を切り落として1本ずつ分けてから洗う。
- 野菜を洗った水は、すぐに捨てる。
丁寧に洗うことが基本
有機野菜であっても一般野菜であっても残留農薬の危険性があります。丁寧に洗って農薬を落とし切るようにしてください。また、有機野菜は微生物系の農薬が使われていることがあります。ボウルに水を張り、少量の酢を入れて薄い酢水を作り、有機野菜を振り洗うことで、微生物を死滅させることができます。もちろん、振り洗いしたあとは、流水でしっかりと酢水を落としてくださいね。
参考サイト: