健康的でダイエット効果があると評判の玄米ですが、本当にいいことばかりなのでしょうか。玄米を食べることのメリット、デメリット、あるいは玄米を食べるときの注意点などについてご説明します。
玄米と白米の違い
玄米とは、稲の種実を乾燥させた後に籾殻(もみがら)を除去したもので、精白されていない米です。その構造は胚芽(はいが)、ヌカ、胚乳(はいにゅう)でできており、胚芽とヌカにはビタミン、ミネラル、食物繊維などを多く含んで栄養価の高い食品になっています。白米は、胚芽とヌカを除いて胚乳だけになったものです。白いご飯は精白された白米を炊いたもので、玄米を炊くと茶色いご飯になります。
玄米のメリット
デトックス効果
玄米は胚芽やヌカが残っているため、それらに多く含まれるビタミンやミネラル、食物繊維が白米より多く含んでいます。また、玄米にはデトックス効果があるといわれています。玄米に含まれる物質・フィンチ酸が、体内にある毒素を排出するというデトックスの働きをします。デトックス効果のおかげで便通が良くなるなどのメリットもみられます。
ダイエット効果と抗がん作用
また、白米のご飯に対して、玄米を炊いたご飯は胚芽が残るため、噛み応えがあるご飯になります。そのため、咀嚼回数が多くなり、満腹感が得られやすくなり食べ過ぎを防ぎます。満腹感が得られるうえ、毒素排出のデトックス効果により便通も良くなることから、ダイエット効果があるといわれています。ほかにも、フィンチ酸には抗酸化作用や免疫力増強などの作用によって、がんを抑制する作用や健康・美容の増進などが認められています。
玄米のデメリット
新陳代謝の低下
残念ながら、玄米にもデメリットがあります。フィンチ酸には抗がん作用がある反面、体に必要な鉄分や亜鉛などの栄養素も、フィンチ酸と結合して排出されてしまうのです。亜鉛が排出されると、新陳代謝の低下を招き、肌荒れをおこし、ひどいときには抜け毛が増えることにもなります。また、フィンチ酸はミネラルの吸収を阻害するという性質もあるので、玄米を食べるときには、カルシウムやミネラルを同時に摂取することが望ましいです。
残留農薬の心配
玄米にはヌカが残されていますが、洗うことで流れ落ちるとはいえ、ヌカの部分に農薬が残留していることが懸念されます。できることなら、有機栽培のような残留農薬の危険のない玄米を食べることが望ましいです。有機栽培された玄米は「有機JAS認定マーク」が表示されていますので、それを目印に選択しましょう。
胃腸の粘膜の損傷
さらに、玄米の表皮は消化されにくいものなので、胃腸などの粘膜を傷付けてしまうことも心配されます。玄米食を続けていく中で、肌の調子が悪い、髪の毛が抜けやすいなどの症状がみえたら、デトックスの効果が大き過ぎるのかもしれません。玄米を食べる食生活を見直して、玄米食の回数を減らすなどして少し控えてください。
「発芽玄米」で栄養分の吸収率アップ
玄米を洗ってぬるま湯に1〜2日浸しておくと、0.5〜1mmほど芽が出てきます。それを発芽玄米といいますが、玄米の食べにくさや栄養分の吸収の妨げが、発芽玄米ではクリアされます。白米に近い食感で、玄米より食べやすくなります。また、栄養も豊富で、体内への吸収もよいというメリットを持っています。ミネラルを囲い込み吸収の妨げになっていたフィンチ酸が、発芽玄米ではミネラルと分離し、ミネラルを吸収することができるようになります。ミネラルばかりでなく鉄分の吸収率も高くなり、新陳代謝低下の改善も期待することができます。
モチモチとした柔らかい食感に変わることで、胃腸の粘膜を傷付けることも少なくなり、血液中の中性脂肪の増加を抑止するという効果も生まれます。天然アミノ酸であるGABAは、玄米の3倍と高い栄養価を持つことが認められています。GABAは、イライラを抑える、ボケを防止するなどの効果がある摂取したい成分です。
玄米は毒素を排出してくれるデトックス効果や抗がん作用という大きなメリットがあります。一方、玄米の大きなデメリットは、残留農薬の心配です。農薬の残留が懸念されるときは、有機栽培された玄米を購入しましょう。「有機JAS認定マーク」を目印に選んでみてください。カルシウムやミネラルを玄米と一緒にとるなどという点に注意して、美味しい玄米食を楽しみましょう。