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子供の健康を守る米国のサイト『Safbaby』が運営するウェブマガジン

常にオーガニック食品を選ぶ3つの理由

文:SafBabyのヘルス・エキスパート : Dr.モーリー・クラーク 編集者:aesmai

“子供が食べる物は、良質で清潔、かつ無添加である事が不可欠です”  – Dr.モーリー・クラーク

マスコミでは、オーガニック食品の価値に疑問を示す傾向が高まっており、オーガニック食品に余分なお金を使う事に本当に価値があるのか、消費者の混乱を招いています。

2009年~2013年の間に、”オーガニック食品は通常の食品と同じで、お金をかける価値はない”事を説得するのに、1億2600万ドル費やされたと知ったら驚くかも知れません。

Friends of the Earth(国際環境NGO)は、信用できる情報を提供すると考えられる団体を認定しています。例えば:Coalition for Safe & Affordable Food、Center for Food Integrity、Center for Consumer Freedom、International Food Information Council、U.S. Farmers and Ranchers Alliance、Council for Biotechnology Informationなど。しかし、これらの団体には、モンサント、シェブロン、ダウ・ケミカル、デュポンのような会社が提携先に含まれるとの報告があります。

オーガニック食品の利点を軽くみる傾向があるにも関わらず、2014年に11%上昇した事からも明らかなように、オーガニック食品への需要は増え続けています。

マクドナルドのような主流のチェーン店が閉店する一方で、チポレ(Chipotle)のようなレストランが成長しています。もしマクドナルドが発売した、ケールを使用した商品が流行するのであれば、評価を得るかもしれません。

例えば食品会社のゼネラル・ミルズは、商品に人工香料や人工着色料を使用しないと発表しています。

オーガニック食品を選択する事は、家族の健康を守り、支払ったお金に見合う価値のある、最善の方法である事は反論の余地がありません。

実社会での例: 通常の食事をする家族への検査で分かった新事実

通常の食品のみ食べ続けてきた家族に化学物質の検査をした後、2週間全てオーガニック食品に変え、更に検査をしたらどのような結果になるでしょうか?

スウェーデン環境研究所(IVL, the Swedish Environment Research Institute)が、この仮説に対する答えを見出しました。食品に対して節約を第一に考えてきた家族が、何故考えを完全に変えたのか分かるでしょう。

研究者は、見た目では分からない、2つの重要な結果を発見しました。

  • 現在、複合的な化学物質の影響や、それらがどのような相互作用を及ぼすか、総合的な評価方法が確証されていません。
  • 子供の化学的許容量は、大人より低い結果となりました。恐らく子供の体重に対して食物摂取量が多い事が理由と考えられます。これは化学物質を同じように曝露した場合、大人より子供の体の残留濃度が高くなる事を意味しています (スウェーデン化学物質庁(Swedish Chemicals Agency)2014).

一方このスウェーデンの研究で、家族から多種の化学物質が見つかりました。そのうちの一つは、食物生産に広く使われ、世間の関心が高く、世界中の認識に変化をもたらした、ある農薬でした。

以下3つの現実は常にオーガニックを選ぶ理由とも言えるでしょう。

1. グリホサート – オーガニックを選択するのに十分な理由

2015年3月、世界保健機関(WHO)の国際がん研究機関(IARC)は、除草剤のグリホサートは非ホジキンリンパ腫を引き起こす可能性があるとして、恐らく人間への発がん性があるとされる2Aに分類しました.IARC評価委員会の議長であるAaron Blairによると、“研究では、農業従事者の血液や尿、染色体が損傷した細胞内にグリホサートが発見されています。グリホサートを曝露した一部の人々に非ホジキンリンパ腫のリスクが増え、また動物実験で腫瘍の形成が確認されています”

グリホサートは、出生異常、神経障害、アルツハイマー、パーキンソン病、様々ながん形成、腎不全を含む健康問題に直接関連があるとされています。

WHOの評価が発表された時、一部の国で即座にグリホサートの使用が禁止されました。最初の国はスリランカで、命に関わる慢性腎臓病(CKDu)が5倍に増えた事が主な理由でした。

続いてオランダやコロンビア、バミューダ諸島、フランス(グリホサートの園芸用品店での販売中止)でもグリホサート使用が禁止されました。他にも、ブラジル、中国、ドイツ(EU域内での禁止を主張)、アルゼンチン(3万人の医者が使用禁止を要求)で禁止法令が予定されています。

グリホサートは、野菜、たばこ、果樹、マツやユーカリの植林地、都市緑地、花壇、線路沿いに加え、遺伝子組み換え作物にも広く利用されています。

対してアメリカは、2012年には生産者が2億8000万ポンドのグリホサートを散布しました。これは一人当たり約1ポンドの計算になります。同年、カリフォルニアの約500万エーカーの農地で、アーモンドや桃、玉ねぎ、カンタロープ(マスクメロンの一種)、さくらんぼ、トウモロコシ、かんきつ類、ぶどう等の生産にグリホサートが使用されました。

衝撃的なニュース: グリホサートは、米国政府の食品の残留農薬試験や、人間の血液や組織に含まれる化学物質モニタリングの対象に含まれていません。その結果、自宅の庭でグリホサートを使用したり、農地の近くに住んだり、グリホサートを使用して育てた作物を食べた場合に人々がどれぐらい曝露するのか、全く情報がありません。

ブラジルのLandless Workers’ Movement (MST)の代表、Joao Pedro Stedileは、 “生物多様性に悪影響をもたらし、気候変動を悪化させ、地力を損なわせ、水や空気さえも汚染するグリホサートの使用を受け入れる事は出来ない。何よりも癌のような病気の原因になる”と述べています。

グリホサートは、以下の商品名で販売されています;Roundup、Cosmoflux、Baundap、Glyphogan、Panzer, Potenza、Rango。米国では環境保護庁(EPA)が、6月に除草剤の新しいリスクアセスメントを公表する準備をしています。

子供達への影響

2010年5月に刊行された小児学会誌(Journal of Pediatrics)の研究で、子供の尿から検出された農薬量と、ADD(注意欠陥障害)との関係性が指摘されました。農薬量が多い程、ADDやADHD(注意欠陥多動性障害)の発生率が高くなったのです。

2010年8月に刊行された同学会誌の他の研究では、米国の少女を対象に、農薬の曝露量の増加と、思春期の早期化の傾向との関係が示され、少女の15パーセントに7歳で乳房発達の開始が見られました。1991年には、乳房発達の平均年齢は11歳でした。

どうしたら化学物質を避ける事が出来るのでしょうか?オーガニック食品を購入すれば良いのです。

2. 遺伝子組み換え作物の深刻な問題

遺伝子組み換え作物(GMOs)は、遺伝子操作により人工的に遺伝形質が付与された作物の事です。

普通に食品を購入したら、遺伝子組み換え作物が含まれる可能性が非常に高くなります。スーパーマーケットの加工食品の約80~95%は、製造過程で遺伝子組み換え作物が含まれる為、識別のためにラベルを見る必要があるでしょう。バーモント州、コネティカット州、メイン州では、遺伝子組み換え作物の表示を義務付ける法律が可決し、15以上の州で同様の準備がされています。

遺伝子組み換え作物の深刻な問題の一つは、作物が耐性を持つ事で、より強く高い頻度で農薬散布が必要になり、農薬使用量が増加の一途をたどる事です。

モーリー・クラーク博士は著書 “Natural Baby, Healthy Child”の中で以下のように述べています。明らかにこのような遺伝子の突然変異やスプライシングは自然には起きないもので、最重要な必需品である食料で”ロシアンルーレット”をしているようなものだ、と多くの著名な研究者が述べています。遺伝子組み換え作物は、今まで人間が引き起こした環境汚染とは異なり、このような方法で作物を改変した場合の長期的な影響について知る術がないのです”

ロシアの生物学者Alexey V. Surovは、モンサント社の遺伝子組み換え(GM)大豆が、成長や繁殖に及ぼす問題を発見し始めています。彼の研究で以下のような衝撃的な結果が明らかになりました。

“ハムスターに2年間、3代に亘り遺伝子組み換え食品を与えたところ、特に最大量の遺伝子組み換え大豆を与えたグループに衝撃的な結果が見られました”

第一世代の子供は成長が遅く、通常より性成熟の遅れが見られました。第二世代の子の幼児死亡率は、通常のハムスター(対照グループ)が5%だったのに対し、5倍高い結果となりました。

第三世代までで、最大量の遺伝子組み換え大豆を与えたハムスターは、繁殖能力を失いました。このグループは成長が遅く、子供の死亡率も高くなりました(Institute for Responsible Technology, 2010年4月).

遺伝子組み換え作物を与えた豚の研究では、与えなかった豚より深刻な胃炎になる割合が高くなりました。Judy Carman博士は、”人間は豚に似た消化管を持つため、このような遺伝子組み換え作物は人間でも広く吸収されるだろう。特に米国において懸念されます。この研究結果が人間にも当てはまるとしたら、分別ある決断を望みます(Institute of Health and Environmental Research, Kensington Park, SA, Australia 2013年6月)”

オーガニック食品を購入すれば、遺伝子組み換え作物を避ける事ができます。USDAに認証されたオーガニック食品は、勿論遺伝子組み換え作物ではありません。

3. 明らかな栄養素の違い –目に見えない有益性

オーガニックと通常の食品を比較する場合の別の論点は、これらの間に栄養の違いは無いというものです。しかし、2014年6月、the British Journal of Nutritionに掲載された論文で、オーガニック作物で作られた食品は、極めて重要な抗酸化物質数が60%高いと発表されました。これら343の事例の分析で、”フルーツや野菜、シリアルをオーガニックに換えると、一日に果物や野菜を1~2食余分に食べるのと同等の抗酸化物質を摂取出来る”と示されました。

抗酸化物質は、心臓血管や神経変性の病気、癌のような慢性疾患のリスクを減らす手助けをする事で知られています。

またオーガニック食品は、重金属の濃度が低い事も発見されました。驚くべきことにカドミウムの濃度は、オーガニック作物では約50%も低い事が分かりました。カドミウム、鉛、水銀は、欧州委員会が最大許容汚染レベルを設定している金属汚染物質です。

ニューキャッスル大学で生態学的農業を研究するCarlo Leifert教授は、この研究に言及し、“オーガニック対、非オーガニックの議論は、数十年に亘り行われてきました。しかしこの研究の結果、オーガニックが圧倒しました。 オーガニック食品の方が抗酸化物質を多く含み、有害金属や農薬が少ないのです”

最近、Environmental Working Groupが作成したアプリ”Food Scores”は、栄養素、原料、加工にそれぞれ点数を重み付けし、1(最高)から10(最低)まで評価します。このアプリをダウンロードする事で、店での買い物時に、より良い食品の選択が出来ます。

2016年には、“TellSpec”という食品センサーが発売されます。このセンサーは、食品中に何が含まれているか正確に解析する事が出来るもので、我々が待ち望んでいた大変革を起こすものです。

まとめ

常にオーガニック食品を食べる事は、健康に好効果を与える事になります。子供達にとって、この選択の効果は更に大きなものになるでしょう。常にオーガニック食品を選択し、自身の子供に十分な栄養を与えれば、慢性的な病気を避ける事に繋がります。長期的に見れば、一生涯の健康というプレゼントを子供達に与える事になるのです。

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著者情報

Dr.モーリー・クラーク

Dr.モーリー・クラークはニュージーランドで生まれ、1984年にアメリカへ移住し医学を学びました。現在Dr.クラークは3つの医学分野の博士号と資格を有しています(自然療法医学、同種療法医学、中国医学(鍼灸や薬草学を含む))。 カルフォルニア州サンタモニカにある診療所で過去26年間「ホリステックな小児医学(身体を部位単位でばらばらに診るのではなく、人の体全体を総合的に捕える小児医学)」の草分けとして活躍しています。 Dr.クラークは、1988年に針灸・薬草・栄養学・同種療法を利用した一般診療を行う診療所を開業しました。治療を受けて優れた健康状態を取り戻した母親や父親が、自分たちの赤ちゃんや子供たちも診療所に連れてくるようになりました。 子供たちの健康状態も回復させ、小児治療においても成功を収めたDr.クラークの地域内での評判が高まり、近隣の小児科医が薬による通常の医学的アプローチでは救えなかった患者の治療を託すようになりました。 子供たちの病気の原因や最も安全で効果的な治療法を発見するために経験や治療、そして知識への探求に力を注いできました。現在の評判や成功、小児科診療所はこの絶え間ない献身的努力のたまものです。 2000年には「ChildLife Essentials®」社を創設し、同社は史上初となる幼児や子供向けの栄養サプリメント製品を処方・製造しています。

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