近年、よく使われる言葉の1つに“エシカル”があります。エシカル(ethical)とは英語で倫理的な、もしくは道徳的なという意味の形容詞ですが、“エシカルな消費”とはどのような消費を指しているのでしょうか。“エシカルな消費”の意味を紐解き、現代の消費者が考えるべきお金の使い方について探っていきましょう。
“エシカルな消費”とは倫理的側面に配慮した消費のこと
元々、消費とは、「欲しいから買う」「必要だから買う」というシンプルな要求に基づいて実施されてきました。気に入った洋服を見つけたからお金を出して自分のものにする、今夜の夕食の材料が足りないからお金を出して購入する。いずれも悪いことではありませんし、人間が生きていくうえで必要なことでもあります。
しかし、購入するという行為が、環境破壊や気候変動、不当な賃金や劣悪な状況下での労働につながっているとするならどうでしょうか。あなたの消費行動が労働者や地球環境を損なうことになっているなら、悪意はなかったとはいえ、決して良い行動とは言えません。エシカルな消費とは、購入するものがどのような状況で作られているかに配慮し、購入したことで環境にどのような影響が及ぶかに想像を巡らせることです。簡単に言えば、倫理的に正しい消費なのかを吟味し、納得できるものだけにお金を支払うことがエシカルな消費なのです。
エシカルな消費において配慮すべきポイント
では、具体的にはどのような点に注意すればエシカルな消費ができるのでしょうか。注意すべき3つのポイントを紹介します。
作り手を考える
商品の作り手は、商品を製造・栽培するために劣悪な環境に置かれていなかったでしょうか。正当な賃金が払われ。労働中の身体的・精神的健康が守られていたでしょうか。例えば“フェアトレード”の商品は、正当な賃金が支払われている農場や工場で製造されています。労働者の搾取によって製造されている商品と比べると割高なこともありますが、フェアトレードの商品を支持することで、フェアトレード以外の商品の需要が低下し、フェアトレードを実践する労働環境の増加が期待できます。
製品そのものを考える
その商品自体が、環境を損なっていないでしょうか。例えば二酸化炭素や有毒ガスを大量に排出する自動車を購入すれば、普段は環境に配慮した生活をしていても、自動車を運転するたびに大気を汚染し、地球温暖化のリスクを増やしていきます。購入する商品が環境や人にどのような影響を与えるかについても、購入前に考える必要があるのです。
消費が終わった後を考える
商品自体がエシカルなものであっても、消費後、環境破壊につながっていては意味がありません。例えば、リサイクルできない素材で作られた容器に入った食品を購入するなら、食品自体がオーガニックで地球と人にやさしいものであっても、ゴミの増加と環境破壊につながります。
エシカルな消費かどうかを見極める方法
日々の生活の中で、すべての商品を「本当にエシカルな消費なのか?」と熟慮しながら購入することは不可能です。急いで買い物を済ませなくてはいけないこともありますし、商品自体にどのような環境で作られたものなのかについての情報が記載されていないことも多いです。しかし、次の点に注意すれば、短時間でエシカルな消費を実現させることができます。
フェアトレードの商品を選択する
フェアトレードの商品には、フェアトレードの商品であることを認証する国際的なラベルがついていることがあります。ラベルがついているかどうかをチェックするなら、短時間でフェアトレードの商品を入手することができるでしょう。
オーガニック食品
オーガニック食品を購入することも、エシカルな消費です。オーガニック食品は生産時に農薬や化学肥料に頼っていませんので、支持することで土壌汚染の防止にもつながるのです。オーガニック食品には“有機JASマーク”が付与されています。食品を選ぶ時の指標にするよ良いでしょう。
なお、化粧品やシャンプーなどには、オーガニックの使用基準がありません。オーガニック化粧品やオーガニックシャンプーと謳っていても、実際のところはオーガニック素材が使用されていないこともあります。ご自身の目で成分表をチェックし、信用できる情報なのか吟味するようにしましょう。
地元で生産されたもの・伝統産業品
地元で生産されたものを購入することは、輸送によって生まれる二酸化炭素や有毒ガスを減らすことにもつながります。また、伝統産業品を購入することは、伝統産業を守り、産業廃棄物が出にくい手工業を支持することでもあります。エシカルな消費を目指すなら、地元で生産されたものや伝統産業品にも目を向けてみましょう。
未来の地球と人類を守るエシカルな消費
商品ができるまで、そして、商品そのものと消費後にこだわった“エシカルな消費”。続けることで、未来の地球と人類を守ることにもつながります。なんとなく消費するのではなく、倫理的な意思を持って消費生活を行うようにしましょう。
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