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粉ミルクが危険⁉—アルミニウムの専門家クリストファー・エクスレイ博士のインタビュー

文:SafBabyのゲストエキスパート、クリストファー・エクスレイ博士  編集者:koma

2010年、キーン大学の生物無機化学教授クリストファー・エクスレイ博士が率いるチームが乳児用既成ミルクと粉ミルクのブランド16種類について調査したところ、アルミニウム含有濃度が母乳に比べ40倍も高く、水道水と比べ数倍高いことが分かりました。

アルミニウムは長期間にわたって摂取して体内に大量に蓄積されると肝臓や腎臓の障害を引き起こす可能性があります。体が小さく排泄機能がまだ未熟な子供は特に注意が必要です。粉ミルクのほか、ベーキングパウダーやベーキングパウダーを使用している菓子パンなどにアルミニウムが含まれている可能性があります。

この研究結果が発表されて1年以上経った現在、果たして製造業者はアルミニウムの濃度を減らしたでしょうか。赤ちゃんや子供という最もか弱い消費者を守るために、政府は規制を設けたでしょうか。そして、体に既に取り込まれたアルミニウムを安全に取り除くための方法はあるのでしょうか。私たちはそれらの答えを求めるために、エクスレイ博士を訪ねました。

以下は、乳幼児と子供の食品に含まれるアルミニウムの不安に関してアルミニウム専門家のクリストファー・エクスレイ博士への独占インタビューの内容です。

 「乳児用粉ミルクだけでなく、食料品に含有されるアルミニウムに関する規制は世界中のどこにも全く見当たらない。」 ー クリストファー・エクスレイ

イギリスの乳児用粉ミルクブランドのみ検査が行われましたが、アメリカのブランドにもほぼ同量のアルミニウムが含まれているとお考えですか?もしくはご存知ですか?

我々は意図的に、イギリスで最も有名な乳児用粉ミルクブランドのアルミニウム含有量を計測しましたが、これらのブランドは、全て多国籍企業により展開されている国際ブランドでした。ですから、我々の計測結果は、世界中で入手可能な乳児用粉ミルク全てに当てはまる可能性が高いと言えるでしょう。

 あなたが研究結果を発表されてから、製造業者はアルミニウムの量を減らしたり、材料を変えたりといった行動は起こしましたか?また、EU諸国やアメリカの政府は消費者を守るための規制基準を設けましたか?

消費者を守る責任を担う、アメリカやイギリス、ヨーロッパ、その他の国からの正式な返答はありません。ウェブサイトBMC Pediatrics  (BMC小児科誌) の中の我々の論文に関する手紙をご覧ください。

 アメリカとEU諸国では、食品に含まれるアルミニウムの量はどのくらい法的に許されているのですか?乳児用粉ミルクはどうですか?

乳児用粉ミルクかどうかは別にして、食料品に含有されるアルミニウムに関する規制は世界中のどこにも全く存在しません。アルミニウム工業は商品の安全性を消費者に明示するよう要求されていないのです。我々の安全を確保する立場にいるこれらの組織の怠慢こそが本当の問題なのです。

 なぜ粉ミルクにアルミニウムが含まれるのですか?(加工段階、もしくは原材料や梱包が原因ですか?)

粉のかたまりを防ぐために(サラサラになるように)粉ミルクにアルミニウムソルトを加えていた時もあったようです。我々は研究の一環で、既製品乳児用ミルクと比較した場合、粉製品はより多くのアルミニウムを含有しているのか、乳児用粉ミルクを製造している業者に尋ねました。

それに対し業者は、現在はこのような方法でアルミニウムを加えていないと返答しました。

大豆原料の製品に含まれるアルミニウムのいくつかは、アルミニウムを蓄積する性質で知られる植物、大豆によるものです。しかし、加えられてはいないにしても、全ての商品に含まれるアルミニウムの多くは、それぞれの原材料によるもの、もしくは加工によるものであるべきです。

商品の多くはアルミニウムを原料とした梱包材を利用しているので、梱包によってアルミニウムが混入するということも考えられるのです。

アルミニウムの短期、長期的な健康への影響はどんなものがありますか?

アルミニウムの健康への影響はほとんど分かっていません。乳児に関しては特に不明なままです。私たちが忘れてはならないのが、アルミニウムは生物学的に反応性が高く、人間の体に対し神経毒、骨毒性を持つことが知られているということです。

動物や植物に対し非常に様々な毒性を持つことが証明されているのです。

アルミニウムと薬について最近私が書いた記事を添付しますので、お好きな媒体にポストしていただければと思います。

アルミニウムと薬:クリストファー・エクスレイ

こちらからダウンロードできます。(英文): Exley Chapter Al and Med

 なぜ子供は体にアルミニウムを吸収しやすいのですか?

赤ちゃんと4~6か月くらいまでの乳児は特にアルミニウムに対し抵抗力がありません。

彼らの消化管はまだ完全に成長していなく、食事に含まれるアルミニウムを大人より血液中に吸収してしまうのです。

彼らの腎臓機能もまだ完全に成長していなく、上手く血液からアルミニウムを取り除くことができません。また、血液脳関門は未完成なため、アルミニウムが脳内に侵入するのを上手く防ぐことができません。

これらの要因全てが警告として周知されるべきです。また、乳児のアルミニウムに対する暴露は、可能な限り防ぐようにしなければなりません。

 母乳は粉ミルクよりアルミニウム含有量が少ないのですか?だとしたら、どのくらい少ないのですか?

はい。一般的に母乳に含まれるアルミニウムは、粉ミルクと比較すると非常に少ないです。おそらく10~100分の1ほどでしょう。

母乳を与えている母親の中には、母乳にアルミニウムを多く含んでいる場合もあるでしょう。例えば喫煙している場合です。しかし喫煙している場合でさえも、乳児用粉ミルクのアルミニウム含有量とは比べ物にならないほどの少ない量なのです。

 母乳に含まれるアルミニウムは、粉ミルクの10~100分の1!どの粉ミルクが一番多くアルミニウムを含んでいますか?また、オーガニックの粉ミルクは、より安全ですか?

我々は、どのタイプの粉ミルクのアルミニウム含有量が少ないかという証拠を得られてはいません。例えば、“オーガニック”を謳っているメーカーも他の製品と同じくらい粗悪でした。さらに、早産で生まれてきた赤ちゃんに与えるなんて全く最悪の事態です。

 摂取したアルミニウムは簡単に排出されますか?

血液に入ったアルミニウムのうち相当な割合の量が、腎臓を経由して尿と一緒に排出されます。排出される割合について50%なのか、90%なのか確認できるデータがほとんどなく、乳児や子供に関してはそういったデータは全くありません。尿と一緒に排出されないものは体に蓄積されてしまいます。

シリコンが豊富な水が、アルミニウムの排出を助ける

 「ミネラルウォーターに含有されるシリコン(シリカ)は、アルミニウムの曝露を減らすことができるかもしれない」 ー クリストファー・エクスレイ

 どうしたらアルミニウムへの曝露を少なくできますか?
fiji-water日々の暮らしで、アルミニウムを回避することはほぼ不可能です。我々は日々のアルミニウム曝露をどう回避できるのかという課題について取り組んでいます。
我々は、シリコンが豊富なミネラルウォーターを飲むことが、体からアルミニウムを排出する可能性があることを証明してきています。 シリコンは、尿を通じアルミニウムを体外に排出する助けとなります。普段の食事にシリコンが豊富なミネラルウォーターを取り入れることで、(例を挙げるとアメリカではフィジーウォーターとなるでしょうが)食事からのアルミニウム曝露だけでなく、その他の形でのアルミニウム曝露も抑えることができるかもしれません。

この調査はまだ進行中ですが、この分野に関してのこれまでの我々の研究は非常に期待できるものです。この研究には資金が必要ですので、もし世の中にこの研究に興味を示してくれる慈善家の方がいらっしゃるのなら嬉しいです。

 「我々は、シリコンが豊富なミネラルウォーターを飲むことが、体からアルミニウムを排除する可能性があることを証明してきました。」 ー クリストファー・エクスレイ

 シリコンとシリカは同じものですか?

シリコンはSiと表記される元素です。シリカはSiO2と表記される二酸化ケイ素ですが、シリコンとシリカはしばし同義的に用いられます。ミネラルウォーターのシリコン含有量はシリカと表記されることもあります。例えば、フィジーウォーターは、 91 mg/L (又は ppm) シリカと表記されています。これは、およそ45 mg/L シリコン(またはケイ酸)と等しい量です。

 どの水がシリコンを多く含んでいますか?

シリカ含有量30 mg/L以上であれば、どの水でもシリコンを多く含みます。

以下に挙げるものはシリコンが高含有ミネラルウォーターです。

・フィジーウォーター(Fiji Water) (アメリカ)

・ボルヴィック(Volvic)  (ヨーロッパ)

・スプリッツァー(Spritzer)  (アジア)

 シリコン含有量が多い水は良いとおっしゃいましたが、シリコンが多い食べ物やシリコンサプリメントはありますか?

簡単な答えはノーです。食べ物の中に含まれるシリコンは、主に様々な形状のシリカ(固形)として存在しています。これはケイ酸が豊富に含まれていません。また、シリコンサプリメントに関しては、健康食品を販売するお店で多く販売されています。これらもまた、ケイ酸を豊富に含んではいません。 (生物学的に利用可能なシリコンの形状)

 母乳を与えることが選択肢から外れた場合、粉ミルクの代替はどういったものがありますか?

私はその分野に関しての専門知識がありません。しかし、もし粉ミルクを利用しなければいけないとして、パウダータイプの粉ミルクを利用するのなら、粉ミルクを作る際、水道水の代わりにシリコン豊富なミネラルウォーターを利用するのは良いアイディアだと思います。

研究について:乳児用粉ミルクに含まれるアルミニウム
BMC小児科誌に掲載された研究結果は以下になり、自由に入手可能です。

 http://www.biomedcentral.com/1471-2431/10/63

イギリスでメジャーな15の粉ミルクメーカーのアルミニウム含有量を計測したところ、いくつかのブランドと、早産児用のあるメーカーが非常に高いアルミニウム含有量を示した一方で、すべての製品に過剰なアルミニウムが含有されていることがわかりました。

追加情報:
クリストファー・エクスレイ博士生物無機化学の教授であり、スコットランドにあるUHI ミレニアム・インスティテュート(UHI Millennium Institute)及びイギリスのキール大学にあるレナード・ジョーンズ研究所、バーチャルセンター(The Birchall Centre, Lennard-Jones Laboratories, Keele University, Staffordshire, ST5 5BG, UK)の名誉教授であります。

Video Christopher Exley: The Mechanism of Toxicity of aluminum-based Adjuvants

著者情報

Dr.クリストファー・エクスレイ(Christopher Exley)

クリストファー・エクスレイ博士(Christopher Exley PhD)はスターリング大学でアルミニウムの環境毒物学で博士号を持つ生物学者です。 1984年から現在に至るまでの彼の研究経歴は興味深いパラドックスに傾注しました。そのパラドックスというのは、‘なぜ、地殻に存在する元素の中で3番目に多いアルミニウムが、不必要なもので、生物にとって有害なのか?’というものです。  この不思議についての調査は、アルミニウムやシリコンの反応性といった無機化学の基本知識を元にした数えきれないほどの分野の調査から、人体におけるアルミニウムの複雑で潜在的な生物学的利用率に至るまでの調査を要しました。  彼はまた、生物に関係し、地殻中で2番目に多い元素、シリコンがほぼ生物学的な機能を持っていないということにも関心を寄せています。 シリコンが持つ機能の可能性のひとつが、生態(生物相)からアルミニウムを排出するというものであり、これは彼の研究グループが取り組んでいる研究内容の大半を占めています。

EARTH CHILD アースチャイルド


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