文:SafBabyのゲストエキスパート、ナタリー・ギアリー博士
今回は、自閉症スペクトラム障害を伴う子供の栄養についてです。
ニューヨークでも著名な小児科医ナタリー・ギアリー博士のアドバイスを基に、注意すべき食べ物の種類や食事制限について紹介します。
自閉症の子供たちのベビーシッターをしている友人の話を、私は良く聞きます。彼女はよく、「子供たちが何を食べているかによってそれぞれの行動に大きな違いがあるのよ」と教えてくれたものです。
最近は自閉症と食事との関係性についての研究が、ますます増えつつあります。
今日はニューヨークでも著名な小児科医、ナタリー・ギアリー博士からいただいた「自閉症と栄養についての専門的アドバイス」を皆さんにお伝えしたいと思います。
自閉症の罹患率
自閉症の罹患率はこの10年間で増え続けており、アメリカでは、ほぼ毎日のように新聞やテレビ番組、自閉症の子を持つ両親のブログなどで情報が発信されています。
専門家たちは「なぜ自閉症が増えているのか、また、どうこの問題を対処すべきか」を懸命に解明しようと取り組んでいます。
また私自身も、自閉症スペクトラム障害を伴う多くの子供たちを診ている小児科医として、自閉症の子供たちとその家族がより良い人生を送るための治療法を模索しているところです。
栄養治療と自閉症
栄養治療は私が中心に行っている仕事です。自閉症の改善、もしくは完治を目的とした子供の食生活の変化に対していくつかの方策があります。
最も安全でよく認知されている食事法は、グルテン不使用で、可能な限りイーストを減らした食事法です。
日々の食事は、食事制限で「潜在免疫刺激物」や「アレルゲン」を取り除けるかどうかに着目して用意します。ここでいう潜在免疫刺激物やアレルゲンの除去とは、以下のようなことを指します。
- イースト不使用
- グルテン不使用
- 乳製品不使用
- カゼイン不使用
また、栄養治療には、以下のような子供の認識処理能力を高める可能性のあるサプリメントを摂取することも含みます。
- ビタミンA
- ビタミンB6
- ビタミンB12
- ビタミンC
- マグネシウム
- 葉酸
- オメガ3系脂肪酸
- セレン
グルテン不使用の食事と自閉症
「グルテン不使用の食事」とは、多くの穀物に含まれるたんぱく質グルテンを除去する食事法です。グルテンが多く含まれる穀物には、以下のようなものがあります。
- 小麦
- 大麦
- ライ麦
- でんぷん
- グラハム粉
- セモリナ粉
自閉症に最適な食べ物
以下の食物は、症状の改善の可能性があり、是非注目したい食べ物です。
- 新鮮な肉類(特に鶏肉)
- 米
- 魚
- 果物、野菜
- イモ類
- 大豆
現在はグルテンを含まない商品が多く市場に出回っており、グルテンフリーのパンやパスタなどもあります。
しかし、「小麦を含まない」と記載されているものの中にも、グルテンを含むものはあるのでくれぐれも注意してください。
原材料に、グルテンを含むライ麦や大麦などが使用されている可能性があるからです。
食事制限に関する注意点
小児科医の立場からすれば、栄養に関わる健康面だけでなく、精神面での健康もまた、自閉症に苦しむ子供の最大の心配事です。
子供たちにとって食事制限は、食事を取る機会のある日常的な活動に参加することを考えたとき、時に精神的苦痛となるからです。さらに、食事制限によって、子供たちが食べられる種類が減り、様々な栄養を確保する妨げとなる危険があります。
お子さんに何か食事療法を始めようとお考えの場合は、かかりつけの医師と、ぜひ話し合いの場を設けてください。
ママモルのコメント:日本では食事療法は医師の指示のもとに行うべきとされていますが、子供の食事を工夫したり、見直したりするきっかけとして、この記事を参考にしてくださいね。