ママモル

子供の健康を守る米国のサイト『Safbaby』が運営するウェブマガジン

マリー・コロダロさんとの対談:健康的な建造物&屋内環境のエキスパート

マリー・コロダロさんは、人体や環境にやさしい建造物や室内環境をつくりだしている方です。今回は、マリー・コロダロさんとの対談から、子供の健康を守るための住居づくりについて考えてみたいと思います。

「健康的な住居」とは、健康をサポートしてくれる家

「健康的な住居」とは、一体何なのか教えていただけますか?

それは、私たちの身体が自然な治癒と再生をおこなえる空間を提供し、人間の健康をサポートしてくれる家のことです。つまり、化学物質・カビ・電磁場(電磁力を媒介する場所のこと)などの環境毒素ができる限り排除されていること、少なくともそれらが人体の治癒メカニズムを妨害しないレベルである家が、「健康的な住居」といえるのです。 加えて、必須事項ではありませんが、毒素が除去された後につくりだしたいのは、自然な表面素材(塗料、床板、家具)を含んだ住居です。地球本来の要素から成る素材は私たちが自然とのつながりを取り戻し、より深い落ちつきを感じさせてくれます。

子供をもうけようとしている多くの方とって、健康的な住居をつくることが重要なのはなぜですか?

胎児を含めて子供たちは毒素の影響を最も受けやすいからです。母親が摂取・吸引・吸収するあらゆるものが赤ちゃんへと伝わります。その上、赤ちゃんや子供は体が小さく急速な発展段階にあり、多くの化学物質が存在する床の近くで生活しますから、彼らは一生涯にわたって彼らの健康に悪影響を与えうる危害を最も被りやすい存在なのです。

公表されている驚くべき統計がいくつか存在し、以下にそのうちの2つを示します:

NIH(アメリカ国立衛生研究所)は、ガンの全事例のうち遺伝子欠陥に由来するものはたった5-10%であり、残りの90-95%は環境やライフスタイルに起因すると述べています。 http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2515569/ (英文のみ)

環境作業部会は動物実験において出生異常や発育異常を引き起こすことが知られている208種の化学物質を臍帯血中に発見しました。http://www.ewg.org/research/body-burden-pollution-newborns(英文のみ)

自宅に検査もなされずに存在している無数の化学物質や毒素と、子供の健康問題との決定的な関連性を科学が証明するまでのんびりと待っている余裕はありません。私たちは、予防的手段を取って、自宅をかよわい子供たちにとって安全な場所にしなければなりません。

健康的な環境づくりが次世代の子供たちを守る

子供を持つ親たちからは、健康問題についてどのような相談が多いですか?

長期間にわたって化学物質・カビ・電磁場にさらされている影響をさらに深刻にしている可能性のある、屋内の環境問題についての相談が多く寄せられています。環境の毒素は、身体に負荷をかけているだけでなく、湿疹・アレルギー・喘息・神経系と神経システムの不均衡・不眠症・化学物質過敏症・電気過敏症などの病を治癒しにくくしています。

環境に関する最新研究では、ある一部の毒素に慢性的にさらされ続けていると、それがたとえ少量であっても、子供たちだけでなく、彼らが成長したのちに誕生する次の世代にまで悪影響を及ぼす可能性があることが指摘されています。

毒素が蔓延しつつある世界において、子供が幼いうちから健康的な生活環境を整えることは短期的および長期的に健康を維持するためにきわめて重要です。

ベッドルームの環境が健康に大きな影響を与える

自宅を1つだけ改善するとしたら、何を選びますか?

バウビオロギーの検査や屋内環境の基準は健康的なベッドルームに焦点を置いています。 私たちは人生の三分の一をベッドルームで過ごし、この場所で私たちの身体は最も重要な仕事である再生と治癒を行います。

鼻詰り・ムズムズ感・息苦しさを感じながらの起床に長年苦しんできた多くの患者が、健康的なベッドルームを作成する私のガイダンスに従っただけで、より良い眠りとアレルギー・喘息症状の大きな緩和を実現しています。

赤ちゃんのベッドルームのリモデルは時期を選んで

ただし、新生児が使うベッドルームのリモデルについては、注意が必要です。

これから親になろうとしている多くの人々が出産の直前や直後に赤ちゃん用の部屋をリモデルせねばならないと感じています。 しかしこれは良い考えではありません。

赤ちゃんや子供は睡眠時に特に悪影響を受けやすい存在で、彼らの免疫・神経系・内分泌系・その他のシステムは発達中の段階にあります。あらゆる新しい素材は、たとえ健康的に思えても、新生児の体に負荷を与えうるのです。

リモデルを(受精以前の時期を含む)出産のかなり前に実施して、新しい素材にガス抜きさせるか、子供が大きくなるまで待つほうが賢明です。毒素に関して言えば、少ないことはより良いことなのです!

健康的な住居を得るために積極的に行動を

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住居をペイント、改装、建築する決断は時には深刻な健康上の影響があらわれる可能性があり、より健康的なシャンプーに変えれば済むような簡単な行為ではありません。いったん設置されると、有毒な建築・インテリア製品は屋内環境に非常に長い期間悪影響を与えるかもしれません。ですから、開始時から正しい行動をとることが重要になりますが、それが不可能な場合は、あらゆる手を尽くし、健康的な住居を得るべく一歩一歩時間をかけて前進することが大切です。

著者情報

マリー・コロダロ

マリー・コロダロは人体に優しい建造物および室内環境づくりのコンサルタントであり、また認定建築生態学者でもあります。コンサルティングでは、家や内装に使用されて入る材料や住居内に置く製品について出来るだけ健康に良いものを使用する手助けをしています。 25年以上に渡り、マリーは病気の症状を緩和する安全な居住空間を作り出してきました。顧客には、アレルギー症状や喘息、カビ・化学物質・電気信号への過敏症に苦しむ子供や大人たちに加え、赤ちゃんが健康的な家で人生をスタートさせることを願う親になったばかりの人やこれから親になる人もいます。 そのユニークな取り組みは、「バウビオロジー(※)」というドイツの学問分野とアメリカの建築科学とを統合したものです。世界クラスの専門家たちと頻繁にチームを組み、幼稚園や家、オフィスに存在する複雑な環境問題の原因を特定し、解決しています。また改築や新しい建物の建造の際のコンサルティングでは、人体に優しい建築用材および内装資材を提案しています。 ※ バウビオロジーは、建造物を取り巻く環境がどのように人間の健康や地球環境に影響を与えるかについて研究する学問です。

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