デパートやドラッグストアなどで売られている化粧品のほとんどには、“グリセリン”が入っています。また、自然派化粧品のお店で売られている化粧品の多くにも、“グリセリン”が入っています。グリセリンとは何なのか、また、グリセリンが化粧品に入っている意味についてまとめました。
グリセリンとは?
グリセリンとは、グリセロールと呼ばれることもあるアルコールの一種です。皮膚の成分の1つでもあり、皮脂膜を分解することでも生成することができます。グリセリン自体は無色かつ無臭ですので、化粧品などに加えても色や香りではグリセリンが入っていることが分かりません。ただし、舐めるとうっすらと甘い味がします。
保湿効果が優れている
皮脂膜の成分であることからも、グリセリンには肌を守る効果があることが分かるでしょう。肌本来の水分をキープし、潤いのある肌を守ります。また、柔軟剤にもグリセリンが入っていることが多いのですが、グリセリンが入ることで、洋服を過度に乾燥させずにふんわりとした風合いを保つことができるのです。
過剰なグリセリンは乾燥を招く!
保湿効果に優れるグリセリンですが、過剰に使用すると周囲の水分を奪ってしまいますので、返って肌が乾燥してしまう原因にもなります。化粧品に含まれている程度のグリセリン濃度では肌が乾燥してしまうことはありませんが、グリセリンを使って化粧品を手作りするときは、グリセリン濃度が10%を超えないように注意して下さいね。
天然グリセリンと合成グリセリン
グリセリンは自然界にも豊富に存在しています。例えばパーム油などの食物油にはグリセリンが多数含まれていますので、抽出して化粧品や医薬品などに使われています。化粧品や医薬品など、直接肌や身体に摂り入れるものには、天然由来のグリセリンが使われることが多いです。
また、グリセリンは工場で化学的に製造することも可能です。柔軟剤などの生活用品に使われるグリセリンは、石油から化学的に生成されたものであることが多いです。
グリセリンの効果
強い保湿効果を示すグリセリンですが、保湿効果以外にも優れた効能があります。グリセリンを特徴づける3つの効果を紹介します。
肌を柔らかくする
グリセリンには、肌を柔らかくする効果があります。グリセリンが入った化粧品を使うと肌が柔らかくなりますので、化粧品に含まれているグリセリン以外の有効成分の浸透が高まります。美白やアンチエイジング、リフトアップなどの効果が期待できる成分も、グリセリンと一緒に配合することで効果自体を高めることができるのです。
肌荒れを防止する
グリセリンには、美肌を作るだけでなく肌荒れを予防する効果もあります。外気の乾燥や大気汚染、ストレスなどの影響を受けると皮膚は荒れやすくなってしまいますが、グリセリンが入った化粧品を使うことで、外的刺激の影響を受けにくい肌を目指すことができるのです。
また、肌細胞は一定の周期で入れ替わり(ターンオーバー)、正常に入れ替わることで美しい肌をキープすることができるようになっています。しかし、外的刺激やストレスを受けるとターンオーバーが乱れてしまい、かさつきや炎症、痒みなどの好ましくない症状が出やすくなります。グリセリンはターンオーバーを促す効果もありますので、肌の基本的なサイクルを正常に保つ役割も期待できるのです。
溶けやすい
グリセリンは水溶性の液体(20度の常温では液体として存在します)で、非常に溶けやすいという特徴があります。そのため、化粧品に含まれているさまざまな成分を分離させずに囲い込み、肌の奥に届ける役割を果たします。
手作り化粧品にも欠かせないグリセリン
ドラッグストアなどでグリセリンだけを購入することもできます。500mlで1,000円程度と安価ですので、グリセリンを使って化粧品を手作りしてみるのはいかがでしょうか。
材料もシンプル!グリセリン+精製水+αだけ
化粧品を手作りするというと、何となくハードルが高そうなイメージがありますが、実はグリセリンを使えばとても簡単に作ることができます。準備する材料はグリセリンと精製水、そして、ヒアルロン酸やアロマオイルなどのご自分で加えたい+αの成分だけ。消毒した清潔な瓶にグリセリン濃度が5~10%程度になるように材料を加え、しっかりと蓋をして混ぜれば完成です。グリセリンは水溶性が高いですので、軽く数回振ればきれいに混ざります。
天然成分だから安心!グリセリンの用途は広い
化粧品などに使われているグリセリンは、ほとんどが食物油由来の天然グリセリンです。安心してご使用いただけますので、グリセリンが入った化粧品で保湿や肌荒れ防止を目指しましょう。また、グリセリンは化粧品だけでなく、保存剤や甘味料など、生活のいたるところで使用されています。用途が広いことも、グリセリンが優れた成分であるからこそと言えますね。