子供には栄養のある良いものを食べさせたいと願う親御さんは多いでしょう。ですが、子供は匂いや色、見た目、食感などですぐに好き嫌いを断定し、「これはイヤ!」「絶対に食べたくない」と拒否してしまうことがあります。
特に子供に多く見られるのが、ニンジンやピーマン、なす、トマトなどの緑黄色野菜嫌いです。いずれもビタミンやミネラルが豊富に含まれますので、ぜひとも積極的に食べてほしい食材ですが、苦手な子供や絶対に口を開けない子供は少なくありません。
子供の味覚は大人よりも敏感!
多くの子供にとって、初めて口にするものはお母さんの母乳です。母乳は甘みとうまみがたっぷりと含まれていますので、甘いものやうまみの強いものは本能的に「美味しい!」と感じるのです。
とはいっても母乳は薄味ですので、子供の離乳食も調味料を極々控えた薄味の者から始めますよね。薄味のものに慣れることで、子供の敏感な味覚が形成されていくのです。
味蕾(みらい)の発達
食べ物の味を感じるのは、舌の上にあるボツボツとした突起「味蕾(みらい)」です。この味蕾は妊娠7週目ごろから成長し、生後5か月位で数がピークに達します。そして、徐々に数が減っていき、40歳ごろには幼児期の3分の1ほどになってしまうのです。
つまり、子供の味への敏感度は大人以上であるということができるのです。大人にとってはちょっとした苦みでも、子供にとっては「とっても苦い」「食べられない」ものであるのは決して誇張しているのではありません。
苦みと酸味は本能的に苦手な味
子供は苦みや酸味を好まない傾向にあります。毒の入ったものは本来苦い味になりますし、腐ったものは酸っぱい味になりますので、苦みや酸味を好まないということは、本能的に毒物や腐敗物を避けている証拠でもあるのです。
子供が苦手だという食べ物を考えてみましょう。ピーマンは苦みがあり、大人になって初めて美味しさが分かる食材でもあります。なすも同様です。濃い味付けにしないかぎりは苦みが残ってしまいます。
トマトは、フルーツトマトと呼ばれる糖度が高いものを選んだとしても、本来の酸味がありますので、やはり酸っぱいものが苦手な人にとっては避けたい食材の1つとなります。玉ねぎは苦みと酸味が強いので生では食べられないという子供も少なくありません。ですが、玉ねぎは加熱すると甘みが強くなりますので、カレーやシチュー、ハンバーグなどの子供が好きなメニューに入っているときはちゃんと食べてくれます。
調理法を工夫して無理にでも食べさせるべきか
味に敏感で、酸味や苦みが苦手な子供。酸味や苦みのある食材や野菜を食べさせるのに苦労をすることもあるでしょう。調理法や味付けに工夫をして苦手な食材を食べさせる方が良いのでしょうか。
工夫をすればするほど本来の味から遠くなる
子育てのガイドブック等を見ると、ニンジンやピーマンをみじん切りにしてハンバーグやコロッケの中に入れるといった苦手な食材を食べさせるための工夫がたくさん示されています。もちろん子供が喜んで食べるように工夫をすることは良いことですが、工夫をし過ぎることで本来の味からかけ離れた味になってしまい、苦手を克服したことにはならないでしょう。
例えば、ニンジンをミートボールに入れることで食べることができたとしても、他の料理にニンジンが入っているときもちゃんと美味しく食べることができるでしょうか。ニンジンの味そのものを克服していないなら、形を変えて口の中に入れることができたとしてもそれは「好きになった」という意味ではないのです。
摂りたい栄養素が破壊されることもある
玉ねぎ等の多くの素材は、加熱することで甘みを増すことができます。ですが、加熱するとビタミン類は破壊されてしまいますので、ビタミンとミネラルを補給するために野菜を食べさせたいと思っている場合は本末転倒になってしまいます。常に加熱したものしか食べさせていないなら、新鮮なビタミン等の栄養素を吸収することができなくなってしまうのです。
食事自体が楽しいものでなくなることも!
料理に手間をかけて、子供が食べられるように工夫すること自体は悪いことではありません。ですが、手間をかけたにも関わらず子供が食べてくれない場合は、ついイライラして子供に当たってしまうことにもなるでしょう。
また、食事は生命維持の目的もありますが、楽しむという目的もあります。子供に野菜を食べさせることが目的になってしまうと、子供にとって食事は楽しむものではなく食べなきゃいけないといった義務になってしまう恐れがあります。
サプリメントを活用しよう!
苦みや酸味への抵抗が強すぎて食べられないときは、子供用のサプリメントで栄養を補給するというのも1つの方法です。もう少し大きくなれば食べられる素材も自然に増えるのですから、気軽に利用できるものを利用していきましょうね。