文:SafBabyのゲストエキスパート:カレン・ランジさん 編集者:Nabo
頭皮や顔などに炎症が見られる脂漏性皮膚炎。多くの子供達が苦しんでいます。今回は、脂漏性皮膚炎とは何なのか、またその対処方法を、Safbabyのヘルスアドバイザーであるカレン・ランジ氏の意見を交えながらお伝えします。
脂漏性皮膚炎とは?
脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹ともいいます)は頭皮や顔、上半身などに現れる肌の炎症のことです。皮膚がうろこ状に乾燥し、かゆみや赤みを伴います。
この皮膚炎は、特に皮脂腺が多くある場所にみられます。若者や大人にみられることが多く、頭皮がふけのようにパラパラと剥がれ落ちたり、ほうれい線に軽度の紅斑が出現したりします。1
原因は、真菌類の一種である癜(でん)風菌だと考えられていますが、まだ証明はされていません。皮脂腺の中で真菌類が増殖することにより発症していると考えられています。脂漏症は女性よりも男性に多くみられ、患者は総人口の3% いるとされています。2
治療に有効なカプリル酸
脂漏性皮膚炎の症状には、カプリル酸が有効だということが分かっています。
カプリル酸は抗菌作用があり、真菌類の異常繁殖による感染症を減らす効果があることで知られています。しかし、本来は自然に腸内に存在するものであるため、問題の原因に目を向けることが重要となってきます。
免疫力の低下している人のほうが脂漏性皮膚炎のような状態になりやすいということもわかっています。抗生物質は良い腸内細菌も悪い腸内細菌も殺してしまうため、すでに抗生物質を投与されている人は、感染症にかかるリスクが高い状態にあるといえるでしょう。
また、真菌の一種である真菌類のマラセジアと脂漏性皮膚炎には関連があるとされています。
抗真菌薬治療では一時的な改善がみられますが、あくまでも一時的に良くなっているだけであって、問題の原因を取り除くことは出来ません。
脂漏性皮膚炎の根本的な原因
食習慣と脂漏性皮膚炎の関係
食習慣を変えることは問題の根本原因に取り組むことになるため、もっとも成功例が多い方法です。
食習慣や生活習慣を変えることによって、脂漏性皮膚炎の原因やその症状を改善できます。まずは、真菌類の餌となる精糖や精白小麦粉を摂らないことが治療の第一歩となります。
食物アレルギーについて
子供が何に対してアレルギーを持っているのかを考えるときに、親が間違いやすいことは、「以前に食べたことがありその時に何も起こらなかった食べ物は、その食べ物に対するアレルギーはない」と考えることです。
初めて与える食べ物だけに対して、アレルギーが起こる可能性を疑いやすいのです。
しかし、免疫系がアレルギー反応を起こすまでには時間がかかることを気に留めておかなくてはいけません。目に見える症状としてでるまでには、数日、数週間、数ヶ月、数年かかることもあるのです。そのため、子供が以前食べたことがあり、その時には何も問題がなかったとしても、その食べ物にアレルギーを持っているということも有り得るのです。
アレルギーを起こす主な食べ物
まずは食事から食物アレルギーの原因とされている主なものを取り除くことが第一歩となります。脂漏性皮膚炎のような肌疾患を含む多くの病気は、主要なアレルゲンを除外することで解決するでしょう。
例えば、小麦(グルテン)、乳製品、ピーナッツ、大豆、イースト(酵母)、卵、抗生物質の含まれた肉類などです。グルテンはほとんどの加工された食品の中に含まれています。人口の40%がグルテンへのアレルギーを持っていて、敏感な人の腸内フローラに影響を及ぼします。
また、グルテンは食べ物に含まれているだけではなく、ビタミンサプリメントやシャンプー、日焼け止めにも含まれています。
かんきつ類やバナナに敏感な人もまれにいますが、通常は無害です。
長い期間、アレルギー物質を含む食べ物を食べていると、消化管への刺激が少しずつ増え、慢性的な炎症を発症する人が多くいます。
腸管壁浸漏症候群
弱った免疫機能や‟腸管壁浸漏症候群”(細くなってダメージを受けた腸管壁から血液中に毒素が漏れ出す症状)によってアレルギー反応を引き起こすことがあります。
食物アレルゲンや治療によって消化管が消耗し続けるといった悪循環によって、どんどん毒素や未消化タンパク質分子が循環します。白血球の数を過剰に増やし、ヒスタミン物質を放出し、やがて安全装置として炎症が発症するというのが身体の自然な反応です。
脂漏性皮膚炎の根本的原因の解決策
カンジダ菌の増殖とプロバイオティクス
プロバイオティクスを用いることは、脂漏性皮膚炎を引き起こすカンジダ症などの症状の緩和に非常に役立ちます。
“誰もが身体にカンジダ菌を保持しています。カンジダは真菌類の一種です。カンジダ菌は通常、良好な健康状態とプロバイオティクスによって抑制されていますが、システムが攻撃にさらされたり、その構造に変化が起こったりした時に、カンジダ菌の増殖が起こります。
抗生物質の使用は、カンジダ菌を抑制しているプロバイオティクスの能力を低下させます。また、イースト菌のエサとなる食べ物、例えば、単炭水化物、糖類、ピーナッツ、アルコール、乳製品の大量摂取はカンジダ菌の増殖を助長します。”
その他、症状緩和のためのポイント
現在ご利用になっているパーソナルケア製品が症状を悪化させている可能性もあります。合成化学物質(例えばパラベンなど)を含んでいる製品であれば、それが肌内部の反応を誘発したり、肌の乾燥を引き起こしたりします。
敏感肌用の自然のものやオーガニック認定製品に変えることで、違いが顕著にあらわれるでしょう。
脂漏性皮膚炎はひとつの肌の状態です。肌細胞は大腸に直接つながっています。そのため、肌のトラブルは消化から来ており、胃酸や胃腸の不調から来ていることになります。 肌症状がある子供は、アレルギーを起こす食べ物を取り除くとともに、果物や野菜をたくさん食べるように心掛けましょう。太陽光を浴びて屋外で過ごし、よく換気された部屋でぐっすり眠る子供も症状がよくなっています。
また、治療には適切な衛生管理が大切になります。 炎症を起こしている箇所を頻繁に洗いましょう。そうすることで皮脂が落ち、症状は軽減するでしょう。
太陽光は真菌類の増殖を抑えるため、炎症箇所を太陽光に当てるのも効果的です。しかし、太陽光(紫外線)によるダメージには注意が必要です。
入浴時には、洗顔料などを使用しないで水だけで洗顔することをお勧めします。洗顔の温度は、冷たいお湯からぬるま湯程度がよく、冷たすぎても温かすぎてもいけませんが、熱湯は絶対に使わないでください。
手でゴシゴシ擦ったり、タオルなどで擦ったりせず、指先で優しく剥がれた皮膚をこすり落とすことが大切です。シャワーで時間をかけて、流水で10分くらい優しくこすり洗いをすると良いでしょう。
References:
1. Seborrhoeic dermatitis
2. Why Seborrheic Dermatitis Causes Red Flaky Skin Around the Nose
3. http://www.keepkidshealthy.com/welcome/commonproblems/ food_allergies.html
4. Rose, Linda Joy. Raw Fusion: Better Living Through Living Foods. Tampa, FL: Quantum Mind Press, 2010.
5. Tannis, Allison. Probiotic Rescue: How You Can Use Probiotics to Fight Cholesterol, Cancer, Superbugs, Digestive Complaints and More. 2008.
6. http://www.lookfordiagnosis.com/faq.php?term=dermatitis+herpetiformis&lang=1&from=30
7. http://www.rosaceagroup.org/…/showthread.php?…Seborrheic-Dermatitis