文:SafBabyヘルスエキスパート Dr.モーリー・クラーク
現在、ビタミンCはナチュラル・ヘルス界のスーパースターの座に君臨し続けています。ここ数年、特に優れた抗酸化作用や免疫システムをサポートする主要ビタミンとしての作用に注目が集まっており、これまでになく重要な栄養素だと言えるでしょう。ビタミンCは環境からくる毒素の解毒や血管形成、心臓血管サポート、細胞修復、免疫サポート、免疫防御など、体内で起こるいろいろなプロセスを助けます。ビタミンCは必須ビタミンですが、体内で形成されないため体外から取り入れる必要があります。
今回は、野菜や果物から摂取できる天然のビタミンCと、サプリメントのために製造されたアスコルビン酸に違いがあるのか、について解説します。
ビタミンCは野菜や果物から摂ることも出来ますし、ビタミンCのサプリメントとしてはアスコルビン酸があります。世界中で摂取されているビタミンCサプリメントの95%以上がアスコルビン酸です。アスコルビン酸はブドウ糖やソルビトールを発酵させて作ります。
ここのところ、製造されたアスコルビン酸と野菜や果物から摂るアスコルビン酸の性質についての議論がなされています。ビタミンCは1930年にハンガリーのノーベル賞受賞者セント・ジェルジによって分離され、存在を確認されました。
食べ物からとサプリメントからのどちらのビタミンCを摂る方が良いのでしょうか。
一般には、サプリメントに入っている植物由来のビタミンCはオレンジやレモンから生成されたものだと思われていますが、そうではありません。植物由来のビタミンCは通常、サゴヤシ、アムラ、アセロラなどのアスコルビン酸含有量が多い植物から製造されています。ところが、これらの原材料となる実は常に収穫できるわけではなく、また継続して収穫するのも難しく、必要量を満たすことも出来ません。
構造的にはサゴヤシなどから製造されたアスコルビン酸とオレンジに入っているアスコルビン酸には違いはありません。過去50年間、製造されたアスコルビン酸と自然に生成されたアスコルビン酸の構造、体内での利用性、吸収率を比較した研究が数多く行われましたが、違いは見つかっていません。
ビタミンCの特性と効能
私の個人的な見解は、最初に世界にビタミンCの特性と効能を紹介したライナス・ポーリング博士の研究内容を参考にしています。
1940年代にポーリング博士はビタミンとミネラルについての研究を始めました。これらの生命に不可欠な栄養素が人体の健康を築き維持する役割を担っている、という彼の先見性のある見解により、他の研究をはるかに引き離していました。
博士はアスコルビン酸の研究を続け、1960年代には製造したアスコルビン酸を毎日1万から2万ミリグラム(10-20g)摂取しました。博士は93歳で亡くなるまで毎日摂取し続け、傑出した一生を終えるまで常に生き生きと活動し、世界中を旅して講演を行いました。
彼を批判したり反対していた医学界の多くの人々より何年も長生きし、彼のビタミン、ミネラル、微量栄養素の研究は今でもオレゴン州立大学ライナス・ポーリング研究所に引き継がれています。
結論としては、ビタミンCはビタミンCである、ということです。研究結果と摂取による結論は、食べ物から摂取しても発酵過程を通して製造されたものを摂取しても効能、体内での利用性、吸収率のいずれにおいても同じです。
ビタミンCの多くの効用をあなたとご家族の健康のために生かしてください。
参考
- Pelletier, O. & Keith, M.O. Bioavailability of synthetic and natural ascorbic acid. Journal of the American Dietetic Association. 1974; 64: 271-275
- Mangels, A.R. et al. The bioavailability to humans of ascorbic acid from oranges, orange juice, and cooked broccoli is similar to that of synthetic ascorbic acid. Journal of Nutrition. 1993; volume 123: pages 1054-1061
- Gregory, J.F. Ascorbic acid bioavailability in foods and supplements. Nutrition Reviews. 1993; volume 51: pages 301-309
- Yung, S. et al. Ascorbic acid absorption in humans: a comparison among several dosage forms. Journal of Pharmaceutical Sciences. 1982; volume 71: pages 282-285.